2002年に金子勇が開発・公開したファイル共有ソフト「Winny」をめぐるネット史上最大の事件を描く映画『Winny』が、3月10日(金)に公開。このたび、金子の遺品を着用して役を演じきった東出昌大の特別映像が公開されました。
映像は、これまでに金子自身が制作してきたフリーソフトの一つ「ネコファイト」を裁判で披露するシーンで始まります。
「では少し動かしてみてください」との壇俊光弁護士の要請によってソフトを動かしながら説明を始めるも「このネコファイトにはAIを搭載しています。AIの方式は…」と素人には分からない用語を使用しながら矢継ぎ早に説明をし始める金子。それを見ていた検察官、裁判官は呆れるも、金子は全く意に介すことなくこんどは「新しいアイディアを思いつきました!」とプログラムを書き始めます…。
松本優作監督は、本作を「『人間ドラマとして描かなければならない』ということは念頭にありました」と言います。
「事件をなぞっても面白いものにはならない。それで、起こった出来事を情報として得ながら、金子勇さんや壇俊光さんの人間的な魅力を、いかに深掘りできるかという取材の仕方をしてゆきました」
周囲から愛されていた“金子勇”の愛すべき一面を切り取った本シーンは、東出が金子の遺品であるメガネや腕時計をご家族からお借りし劇中で身につけながら金子を感じ、彼に近づくために18キロも増量。まさに金子と一体となり “憑依”したような迫真のシーンとなっています。
当時大問題となった「Winny」事件の真相
「Winny」とは、金子勇(ハンドルネーム47)が開発したファイル共有ソフトで、インターネット上でつながった複数のパソコンでファイルを共有する分散ファイルシステムの技術を使用したもの。金子が電子掲示板サイト「2ちゃんねる」上で「Winny」を公開すると、瞬く間にユーザーは増え、ピーク時は200万以上の人が使用していたと言われています。
当時ではあまり利用されていなかったP2P技術を発展させ、データをバケツリレー方式で転送するため、匿名性が非常に高いのが特徴。そのため、映画やゲーム、音楽などの著作物データが許可なく流通し、著作権侵害の温床と指摘されて問題に。
一方で、その特性を悪用したウイルスも流行。感染すると意図せずデータが流出してしまい、警察や自衛隊の内部資料、企業の顧客情報や個人所有のプライベートファイルなどが漏えいし、回収不能に。当時の安倍官房⻑官は会見を開き「情報漏洩を防ぐ最も確実な対策は、パソコンでWinnyを使わないことです」と呼びかける事態となりました。
次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑で2004年に逮捕。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、金子の逮捕報道を受け、急遽弁護を引き受けることになり弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまいます。しかし運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展し…。
なぜ、一人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか?本作は、開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語です。
映画『Winny』は3月10日(金)に全国公開されます。
[作品情報]
映画『Winny』
企画: 古橋智史 and pictures
原案: 朝日新聞 2020年3月8日記事 記者:渡辺淳基
プロデューサー:伊藤主税、藤井宏二、金山
監督・脚本:松本優作
撮影監督・脚本:岸建太朗
制作プロダクション:Libertas/制作協力:and pictures
出演:東出昌大、三浦貴大
配給:KDDI/ナカチカ
©2023 映画「Winny」製作委員会
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