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中島健人の俳優としての成長を見られる「お前の罪を自白しろ」エンタメよりのサスペンスとして見れば面白さ十分…だがツッコミどころもあるのは仕方ない?

by MOEPPP



お前の罪を自白しろ
監督/水田 伸生
舞妓Haaaan!!!(07)
アイ・アム まきもと(22)
ゆとりですがなにか インターナショナル

脚本/久松 真一
原作/真保 裕一

出演/
中島健人
堤真一
池田エライザ
山崎育三郎
中島歩
美波
浅利陽介
三浦誠己
矢柴俊博
柏原収史
中村歌昇
佐藤恋和
アキラ100%
山崎一
尾美としのり
池田成志
橋本じゅん
春海四方
小林勝也
菅原大吉
升毅
平泉成
尾野真千子
金田明夫
角野卓造

映画を見たあとに予告を見ると、予告の編集が絶妙に上手いことがよく分かる映画

映画そのものは本格的なサスペンス作品に見えるが、実際に観てみると、
映画初心者でも楽しめるエンタメ色が強めのサスペンス映画に仕上がっている
この部分が気にいるかどうかでこの映画の評価は大きく分かれるのではないかと思われる

ストーリー公式サイトより
政治家一族の宇田家の次男・宇田晄司(中島健人)は建築会社を設立するも倒産し、
やむなく政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の父・宇田清治郎(堤 真一)の秘書を務め、
煮え切らない日々を送っていた。
そんなある日、一家の長女・麻由美(池田エライザ)の幼い娘が誘拐された。
犯人からの要求は身代金ではなく、
「明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」という清治郎への脅迫。
それは決して明かすことが許されない国家を揺るがす”罪”だった。
権力に固執し口を閉ざす清治郎―。
晄司はタイムリミットまでに罪に隠された真相を暴き、家族の命を救うことができるのか !?

日本を始め政治の世界には、多かれ少なかれドロドロとしてものが渦巻いているのは間違いなく、
もちろん何らかの利権が発生しているのは当然とも言える

この映画のメインストーリーは国会議員の孫娘の誘拐事件の謎解きではなく、
政治とはなんなのか?に振り回される家族の物語でもある

さらに「政治とは誰のためのものなのか?」を問う流れに持っていくまでのお話しであるゆえに、サスペンス映画の部分を強く見ていれば肩透かしを食らう人も出てきてしまうだろう

公式サイトで堤真一が言っていた
>社会派ドラマでありながら、サスペンスの要素もあり、エンターテインメントとしても楽しめる
という言葉がなによりもピッタリハマる映画だといえる。

主人公は国会議員秘書の宇田晄司(うだ こうじ)で中島健人
過去に建設会社を倒産させてしまった経験を持つ正義感あふれる青年役だが、中島健人が熱演

これまで漫画原作の作品
銀の匙 Silver Spoon(14)
心が叫びたがってるんだ。(17)
未成年だけどコドモじゃない(17)
ニセコイ(18)
などで注目を集めることが多かった彼だが、ようやく俳優としての本格的なドラマ性の強い作品の主演として抜擢
昨年の「ラーゲリより愛を込めて」でもいい演技をしていたが、今作はハマり約とも言える

前半はただの熱血漢でありつつも、後半では政治家を思わせる表裏のある青年
とくに相手に容赦なく切り込む雰囲気の演技は目を見張る物があった
そのあたりをみれば
抑揚の効いた台詞回しや怒気をはらんだ声の出し方などの経験を積めば相当良い俳優になるポテンシャルは十分
と感じることだろう

逆に言うと、前半の正義の熱血漢の印象が強くなればなるほど、後半の敵対勢力の相手のところへ聞き取りとはいえ殴り込みの様相で突撃するところのギャップは印象的だと言えるだろう

そこからラストの1カットにおける、自信と不敵さを兼ね備えた若きエースを思わせる雰囲気は見事である

そして堤真一
堤真一作品に外れなしと個人的に思っているのだがまさに今回も彼の演技の良さが光っていたといえる
国会議員として成り上がるための手段としてのポジション取りなどの部分
その一方で 奥の手をちらつかせる狡猾さ
ラスト前ののんびりとした性格を思わせる雰囲気

この 101分という短めの映画の中で見せる変化の凄さは、まさに堤真一ならではではないだろうか?

そして意外といっては失礼だが、印象的なのが池田エライザだろう
娘を誘拐された母親役として喪失感ある演技は素晴らしかったし、彼女の喪失感無力感のあるシーンがインサートされるからこそ、中島健人らが事件解決に向けて奔走するシーンの対比として印象が強く残ったのはあると思う

さらに政治家として
立志するときの清らかさ
政治家として活動する中での汚れた部分
己を振り返ることで初心に振り返る
といったベタな展開も含めて店舗の良いシナリオ展開は観ていて飽きがない分、事前に人間関係を知っておかないと分かりにくくなってしまう部分はある

例えば
冒頭に晄司(中島健人)が緒形麻由美(池田エライザ)を麻由美と呼び捨てにする
別の男性が出てきて、緒形麻由美を呼び捨てにする
その後に晄司と緒形麻由美が兄妹だと判る…というのは映画慣れしてない人には??となってしまうところかもしれない

あと警察の平尾(山崎育三郎)がとてもいいのだが、警察の人のスーツ姿、スーツの色合いがいっしょすぎて顔のメリハリで見分ける…という、なんとも言えないところはあった

あとメディアのポジションに対してのアンチテーゼ的なものが台詞によって語られるのだが、その部分も持って描いても良かったのではないかと思う
いまのTVメディアの酷さは目に余るものがあり、事件にしても注目するべき…として報道するポイントが狭すぎるのを感じるしその背景や違う視点。違う切り口、本来報道すべき無いようなのかどうかも精査されているとはいえないコンテンツが多分にある

そういったメディア批判的なものを色濃くして20分ほど長くしてればもっと社会派の色合いが強まったかもしれない

その一方で、エンタメ性を強くした映画とはいえシナリオのご都合主義的な一面が強く感じてしまうところは評価を下げてしまうところはあるだろう

代表的な演出でいうと犯人のコンピュータスキル
あれだけのことができるのであれば、別の生き方もできたはずで…そもそもの事件の根幹が起きることはなかったかもしれない

犯人の真相部分なども、若干の肩透かしを食らってしまう感もある
その真相でそこまでのながれにするのか?という部分も含めて、リアルサスペンスといった部分に及ばないので、
どこまでもエンタメ性が強い映画として観てほしいとは思う

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2 comments

@user-kd5zg4gb6j October 24, 2023 - 5:15 am

とても公平にエンタメ作品として感想を述べてらして聞いていてスッキリしました。ツッコミどころも同じ箇所でしたしw話は少し逸れますが偏向報道によって疲れた体にはこういう偏りのない意見が救いとなりました。

@user-tu1lr4nj4m October 25, 2023 - 7:56 am

社会性はかなりあったと思います。
政治だけでなく権力者によって翻弄され結局、貧困から立ち上がれない構図がしっかり表されていました。
そこに身代金ではなく『自白』。下町の零細企業の信念というか魂があるとのだという事をかんじてほしかった。
最後に犯人が晄司に問いかけるあの言葉によって晄司のラストシーンがあったのだと思う。それが、この映画の真骨頂だったと思うけど。

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