『功名が辻』(こうみょうがつじ)は、2006年1月8日から12月10日まで放送された45作目のNHK大河ドラマ。
概要
原作は司馬遼太郎が1960年代初頭に執筆した同名小説『功名が辻』[注 1]で、司馬作品の大河ドラマ化は6作目。千代(見性院)とその夫・山内一豊を主人公とし、仲間由紀恵と上川隆也がダブル主演。脚本は大河ドラマ初執筆となった大石静。音楽担当は1996年の『秀吉』と同じ小六禮次郎。
大石は『国盗り物語』など司馬の諸作品に描かれるエピソードを転用しながら登場人物のキャラクターや歴史上の出来事の背景に大胆な解釈を加え、それまでの大河ドラマとは違った描き方で戦国物語を紡いだ。たとえば、信長・濃姫・光秀の三角関係を本能寺の変の背景として描き、従来の大河ドラマであれば一話すべてを使って描くような出来事である本能寺の変を放送開始15分で終結させ、残り30分で事変によって揺れ動く人々を描写。翌回でも秀吉が光秀を破った山崎の戦いが放送冒頭のアバンタイトルでの説明で済まされるなど、合戦そのものよりその前後の人間ドラマを重視する姿勢が見られた。
また、原作で戦国の女として描かれた千代を、反戦思想を内に秘め出世や金銭に実は執着しない女性に設定。大石曰く「アナーキーなキャラクター」である織田信長、そして豊臣秀吉、徳川家康をそれぞれ舘ひろし・柄本明・西田敏行が好演。肖像画に似せた衣装や風貌が話題になった。家康役の西田敏行はこれまで大河ドラマにおいて『八代将軍吉宗』では八代将軍徳川吉宗、『葵 徳川三代』では二代将軍徳川秀忠を演じていたことから、「念願の家康役。夢が叶いました。ようやく本家本元という思いです」とコメントしている[1]。エキセントリックな信長、軽妙洒脱な人物であったが権力を握るにつれて悪人となってゆく秀吉、常に冷静沈着な家康に仕え、翻弄される一豊を愛敬と度胸、そして知恵で支える千代の夫婦愛を軽妙なタッチで描いた。
オープニング映像は「夫婦の絆を意味する一本の糸が複雑にさまざまに変化し、その移り変わりの背景に色々な素材が登場しては消えて行く。その流れが、夫婦の絆と、それを取り巻く事象を意味している」というコンセプトで製作された[1]。
衣装考証は毎年大河ドラマで考証を務めてきた小泉清子が担当。千代には一豊が小禄だった頃に着物の端切れで小袖を仕立て上げたというエピソードがあり、実際にパッチワークで作られた衣装が使用された。ドラマでは千代の実家・不破家が戦で焼けた際に燃え残った着物の端切れで仕立てたという設定で麻の小袖が登場、山内家の旗もパッチワークで製作された。また、信長の妹・お市や秀吉の正室・寧々に所望される小袖や打掛は高級感を出すために絹のパッチワークで製作された。
大河ドラマシリーズでは、全ての県で地上デジタル放送が実施された最初の作品である[注 2]。
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