北海道知床沖で観光船KAZU1が沈没した事故から3月23日で11か月です。
事故の2日前の訓練で、船に不具合があることを船長が知っていた可能性があることが、関係者への取材で明らかになりました。
知床沖で観光船KAZU1が沈没した事故から3月23日で11か月。
20人が死亡し、いまも6人が行方不明になっています。
なぜKAZU1は沈没したのかー。
国の運輸安全委員会が公表した報告書によりますと、船はハッチのふたが十分に閉まっていない状態で運航し、海水が流入したことで沈没した可能性が高いとしています。
同業他社の関係者:「ロープを出してえい航訓練に行ったときには、ハッチのふたは閉まっていなかったんだよね」
こう語るのは、同業他社の関係者です。
事故を起こす2日前の訓練で、KAZU1のハッチのふたが閉まっていないのを目撃していました。
同業他社の関係者:「ここがブリッジ、船首にハッチがあり、留め具があって、前の2つが閉められなかった。この2つがダメだった。(豊田船長は)閉めにくいからあきらめたなという感じだったね」
ハッチのふたが閉まらないまま訓練は続行。
その後、直したかどうかは分からないといいます。
同業他社の関係者:「当然、営業日の2022年4月23日は必ず閉めたもんだと思っていたからね。(普通、ハッチのふたが閉まらないまま)お客さんを乗せて走ることは絶対ないよ。なぜかというと出航前に必ず点検するから」
さらに男性は、エンジンオイルを長期間、取り換えていないなど、ずさんな安全管理をたびたび目撃し船長に何度も注意していたといいます。
同業他社の関係者:「(船のメンテナンスを)『専門業者に頼め』と豊田船長によく言っていたんだ。そしたら『自分でやれって言われるんだ』って。桂田精一社長から言われるんだ。『業者に頼んでください』って言ったら『そんなの自分で直せ』って。エンジンのメンテナンスもしていないし、ペンキを塗っただけだからね。だから起こるべくして起こった事故なんだ」
一方、国側のチェック機能にも疑念が生じています。
事故の3日前のJCIによる船舶検査では、ハッチのふたの作動状況を確認していませんでした。
そして、国交省は2021年、2度の事故を起こした知床遊覧船に対し、改善報告書の文案を作って提出させるなどの指導をしていました。
運輸行政の専門家は…
関西大学 社会安全学部 安部 誠治教授:「強い父親と子どもの関係。事業を行う中小事業者が運輸局に頼るという関係が日本の運輸行政の中に残っているのではないか」
運航会社が国に頼る「もたれ合い」の関係がチェックの甘さにつながったのではないかと指摘します。
関西大学 社会安全学部 安部 誠治教授:「運輸局が事業者を支援するというのは悪いことではないが、自立を促すような支援・指導をしないといけない。規制する側と規制を受ける側という関係がないと安全管理で隙間が生まれる」
国の検討委員会がまとめた再発防止策には、抜き打ちの監査を導入するなど監督の強化が挙げられました。
実効性を高めるため国と事業者の緊張感ある関係性が求められます。
未曽有の事故から2023年4月23日で1年。運航会社の主張と、海上保安庁の捜査はどうなっているのでしょうか。
知床遊覧船の桂田精一社長は2022年6月、事業許可の取り消しの際、陳述書で「事故の責任を事業者にだけ押しつけ、監督官庁に対する世論からの批判が高まるのを回避する目的でなされた見せしめ的なもの」だと主張し、不服を述べています。
一方、海上保安庁は業務上過失致死の疑いで調べを進めています。
当日に悪天候が予想される中で出航をした際に”事故を予見できていたのかどうか”が捜査のポイントになります。
3 comments
行方不明の6名は、魚のエサになってるでしょう。食物連鎖です。無駄死にではないので大変良かったですね🎵
エンジンオイルは、
人間で例えたら、血液なんだけど、それを怠ると成ったら
相当ヤバいな⁉️
社長にハッチ閉まらない報告してたとしても、閉まらないまま運行しろって言ってそう。
起きてしまった事だけど、これだけ営業体制に不審に思ってた人がいるのなら、犠牲になる人が出る前に止めて欲しかった