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俳句の語順 プレバトに学ぼう!

by MOEPPP



◆今回の俳句
00:00 春立つや桃色のメモ退院日 中田喜子
01:20 春の日の大人の入り口蒸しタオル 勝村政信
02:04 子を追ひぬ追ひつかぬやう春遊び
02:55 靴の中ギラリちび蜘蛛我が家ぞ 的場浩司
03:33 春の風邪レトルト粥に夫の気持ち 菊池桃子
04:30 春泥を引越し女房おお跨ぎ 中田喜子
05:27 ぬた浅蜊ごま油足し香り聞く
07:16 校舎裏抱きし犬の目春の月 的場浩司
08:06 春風のマーチ擦り傷にマキロン 森迫永依
09:14 眉のよく似て野遊の一族郎党
10:10 ギャラ明細は二行療養の春 皆藤愛子
11:11 卒業や階段に階段の影 村上健志
#語順
#NHK俳句

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#プレバト #俳句 #季語

◆一部文字起こし
俳句の語順について考えていきます

春立つや桃色のメモ退院日
こちらは中田喜子さんがプレバトで詠んだお題「冷蔵庫のメモ」で作った俳句です
俳句の意味は出産の退院日の書いた桃色のメモが冷蔵庫に貼ってあってその喜びと立春の喜びというのを重ねて詠まれたということです
上五(最初の5音)春立つやで切れ字を使って大きく切れていますね
また中七(中盤の7音)と下五(最後の5音)の間にも大きな切れを感じる方が多いのではないでしょうか
この2回の切れというのを調整するために夏井先生はこのように添削されていました
桃色のメモよ春立つ退院日
今回はこのように俳句の語順を変えることでどんなことが調整できるかということをプレバトやNHK俳句の添削を参照しながら考えていきたいと思います
今回は語順調整の効果を4つに分類して紹介していきます
1つは今示した「切れの調整」
2つ目は「品詞の調整」
3つ目は「カメラワークの調整」
4つ目は「韻律・調子の調整」です
具体的に俳句を見ながら考えていきましょう

春の日の大人の入り口蒸しタオル
こちらは勝村政信さんがプレバトでお題「美容室」で詠まれた俳句です
俳句の意味は美容室で髭剃りをする時に蒸しタオルっていうのを顔に当てるんですね
それをはじめてしたときにあっ大人の入り口に立ったんだなっていうことを実感したという俳句だそうです
こちらも五七五の間に大きく2回切れ目がありますね
夏井先生はこのように添削されます
大人の入り口春日の蒸しタオル
このように切れの調整というと主に2つの切れを1つの切れにすることが多いかと思います
他の例も見ていきましょう

子を追ひぬ追ひつかぬやう春遊び
こちらはNHK俳句「野遊」の回で扱われた一般視聴者投稿の俳句です
添削者は井上弘美先生でした
俳句の意味は子供を追いかけ回すんだけれども大人だからすぐに追いついてしまうと
なのでちょうど追いつかないぐらいの子供が一番楽しめるスピードで春遊んだよという俳句かと思います
追いかけるんだけど追いつかないようにするっていうことを言いたいんだけれどもなかなか表現したいことが複雑なので少し分かりづらかったり切れが悪くなったりしていると思います
井上先生はこのように添削されていました
追ひつかぬやうに子を追ふ春遊び
語順の調整で一気にすっきりしましたよね

靴の中ギラリちび蜘蛛我が家ぞ
こちらはプレバトで的場浩司さんがお題「シューズ売り場」で詠んだ俳句です
俳句の意味は靴の中にちび蜘蛛ちゃんがいてギラッと睨んできたと 我が家だよ邪魔するなと言ってるような感じがしたという俳句なんですけれども
やはり五七五の切れ目で大きく切れている感じがしますね
夏井先生はこのように添削されていました
新品の靴よりちび蜘蛛のギラリ
切れを調整することで表現したいことがより強調されるといった効果もあるかと思いました

春の風邪レトルト粥に夫の気持ち
こちらはプレバトで菊池桃子さんが「レトルト」というお題で詠んだ俳句です
俳句の意味は春に風邪をひいてしまった時にレトルト粥を夫が作ってくれたということですね
これを見た永世名人の梅沢富美男さんが気持ちというのは書かなくてもいいと物や行動の記述から気持ちを考えさせるのが俳句だよといった趣旨のことをおっしゃっていて夏井先生もそれに賛同するんですね
また切れ感というところでこのように添削されていました
春の風邪夫の買いくるレトルト粥
ここまで俳句の語順を変えることの効果「切れの調整」ということで俳句を紹介してきました
どうしても2回大きく切れちゃうなとかもっとすっきりと俳句の意味を伝えたいなという時には語順を調整してみても良いかもしれませんね

春泥を引越し女房おお跨ぎ
こちらはプレバトで中田喜子さんがお題「引越し」で詠んだ俳句です
俳句の意味は引越しする女房が大股ぎで春の泥の上をまたいで引越しの荷物を運んでいるよということだそうです
今回の俳句の語順の変更の効果は「品詞の調整」とさせていただきました
これを見たFUJIWARAフジモンさんが「春泥」と「跨ぐ」が離れすぎているんじゃないかということを指摘するんですね
跨ぐという動作と春泥という跨ぐものを離し過ぎて伝わりにくくなっているんじゃないかということを言うわけです
夏井先生もそれに賛同してこのように添削されていました
引越し女房ほら春泥を大跨ぎ
このように品詞の位置っていうのを変えることでより伝わりやすい語順になることがありますね

ぬた浅蜊ごま油足し香り聞く
こちらはNHK俳句の浅蜊の回で一般視聴者の方が投稿した俳句になります
添削者は井上弘美先生ですね
俳句の意味は焼かれたぬた浅蜊にごま油を足してジュワッとなるわけですよね
そんな香りを聞いて食欲を増したというようななんとも美味しそうな俳句なんですけれども
今回紹介する俳句の語順調整の効果は2つあります
まず1つ、前でも紹介した品詞の調整ということですね
井上先生は動詞を減らしましょうという風に言っていました
俳句の(推敲の)技法として動詞の数を減らすというのはひとつの手法かと思います
また語順調整4つ紹介するうちの3つ目の効果として「カメラワークの調整」というものがあります
添削後こちら
ごま油足したる香りぬた浅蜊
品詞の調整でいうと添削前の「足す」「聞く」という2つの動詞が添削後は足すという1つだけになってますね
こちらが品詞調整の効果
またカメラワークでいうと添削前はぬた浅蜊アップからごま油が足されたところにいったんだけれども添削後はごま油からスタートするわけですよ
ごま油がピチョンって一滴二滴滴れたその滴れたごま油を追っていくと美味しそうなぬた浅蜊あったよっていうカメラワークですね
このように引きから寄るのかズームしていたところからズームアウトしていくのかというカメラワークの調整という効果が語順を変えることで得られる場合があります
他の俳句も見ていきましょう

校舎裏抱きし犬の目春の月
こちらはプレバトで的場浩司さんが詠んだ俳句で捨て犬を拾って家では飼えないと言われて校舎裏に行ったらしいんですね
そうすると夜が更けてしまって春の月を見たよという思い出を詠んだ俳句だそうです
この俳句校舎裏の場面から始まって抱きし犬の目、犬の目に行きますよね
そしたらまた寄ってたものが引いて春の月に行くわけですけれども寄ったり引いたりというカメラワークになってしまっています
また2回大きく切れているという問題もありますので夏井先生はこのように添削されていました
抱く犬の目よ春月の校舎裏
読者がどういう絵をイメージするかというのも考えて語順を調整する必要がありそうですね

春風のマーチ擦り傷にマキロン
こちらはプレバトで森迫永依さんがお題「つまずく」で詠まれた俳句です
俳句の意味はマーチングバンドの練習をしてる時に転んでしまったと その時に顧問の先生にマキロンを貰ったという思い出を詠んだ俳句だそうです
こちらは春風のマーチが鳴る場面から始まって擦り傷にマキロンと寄ったカメラで終わりますよね
永世名人の梅沢富美男さんと夏井先生は口をそろえて語順が違うっていう風に言うんですね
本当に語順だけ変えた添削になります、こちら
擦り傷にマキロン春風のマーチ
カメラが寄っていたところから一気に広い画角になるところを想像したりカメラの角度も上側に向いたなんていう人もいたりするかもしれません
また春風のマーチと映像のない情報で終わりますので読後感がより春らしくなるというかそんな効果もあるかと思います
一文字も変えていなくて語順だけといった添削でした

眉のよく似て野遊の一族郎党
こちらはNHK俳句で一般視聴者の方が詠まれた俳句です
お題は「野遊」ですね
井上弘美先生が添削者でした
俳句の意味は眉がよく似た一族が野遊びしているということかと思いますが眉のアップから始まりますよね
より強調するという意味ではとても効果的な位置かなと思うんですけれども少し韻律や調子というのが崩れているかもしれません
井上先生は広いところから眉にズームインするっていうカメラワークにするのとあと韻律・調子を整えるということでこのように添削されていました
野遊の一族眉のよく似たる
俳句の語順を変更することの効果の4つ目として韻律・調子の調整ということを紹介したいと思います

ギャラ明細は二行療養の春
こちらは皆藤愛子さんかプレバトで「給与明細」のお題で詠んだ俳句ですね
俳句の意味は療養していた期間にギャラ明細を見たら文字が2行しか書いてなかった
普通は番組の名前とかバって書いてあるんだけれども再放送などしかなく仕事がないことを物語っていたといった意味の俳句だそうです
ギャラということで業界人であることが示唆されて二行という具体性も良かったと
なのであまり言葉としては直すことはないんだけれども語順を変えて調整しましょうということになりました
夏井先生の添削がこちらです
療養の春やギャラ明細二行
韻律や調子が整いましたね
また「や」と切れ字で場面転換するということも足しています
語順を考える時にどうしても大きな切れを強調したいときっていうのはこの切れ字を入れるのもひとつ手かと思います

卒業や階段に階段の影
こちらはプレバトでフルポン村上さんがお題「階段」で詠んだ俳句です
俳句の意味は階段に階段の影ができていることから卒業を実感したというような意味ですね
夏井先生は五五七の構成なんだけれどもこれがいいっていう風に言うんですね
例えば五七五にできるわけですよ
(五七五の例)卒業や階段の影階段に
中七(中盤の7音)と下五(最後の5音)を入れ替えるだけでいいじゃんと思うんですけれどもこのリズムが功奏してるんですね
何か階段を昇り降りする感じというのもこの調子に込められていそうですしまた「影」と体言止めすることで影の持つ印象っていうのを強調することができていますね
五七五にできるんだけれどもいやいや五五七なんですよっていう語順のお手本のような俳句でした

今回は語順調整の効果として4つ紹介してきました
1つ目「切れの調整」
2つ目「品詞の調整」
3つ目「カメラワークの調整」
4つ目「韻律・調子の調整」
こんなことに課題を感じたら語順を変えて推敲してみるのも良いのではないでしょうか
今回はプレバトやNHK俳句の添削例から俳句の語順について考えてきました

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5 comments

俳句LOVE April 6, 2023 - 9:54 am

ヒッチ俳句さん、こんばんは。

編集もどんどん進歩していますね! 

登録も訪問するたびに鰻登り。ご努力が報われて素晴らしいです。

切れの調整。なるほど♪ 「レトルト粥」の添削、大いに納得です。

「品詞の位置」動詞を減らすとすっきりします。

「カメラワークの調整」参考になります。語順は大切。

井上弘美先生も素敵ですね。俳句は韻律・調子の調整が大切ですよね。

いやはや俳句は奥が深いです。ヒッチ俳句さんの名調子、堪能させて頂きました。

ありがとうございました。

隅雀 小田嶋 April 6, 2023 - 12:26 pm

今回は語順ですか…自分は少しでもリズム良く、伝わるようにと一句の中でも言葉をとっかえひっかえしていますが、なかなか上手くいかないので。
同じように悩むのが視点ですね。自分の句のネタ元が子供が何かしたと言うものですが、子供になりきってこれしたと言う視点で書くのと、親視点で子がこうしたと引いた視点で書くのが良いのかしょっちゅう悩みます。関係無い話で申し訳ありません。

ヒッチ俳句 April 6, 2023 - 11:59 pm

俳句を募集しています!
例:
墓参り僧の読経より作法
(はかまいりそうのどっきょうよりさほう)
今回は「語順」の動画でしたが、お焼香などの「順番」がわからず見よう見まねであたふたした思い出を詠みました。今も正解は分かりません笑

アポカリプス April 8, 2023 - 2:45 am

横入りの文句出て来ぬ春の月

「順番」ということで、列に割り込まれた時の事を思い出しました。スーパーのレジって、何であんなに最後尾が分かりにくい構造をしてるんでしょうか?

abc April 9, 2023 - 5:56 am

こんにちは!
語順の動画ありがとうございます!
ためになります(_ _)

プレバトの春光戦でも語順がかなり明暗を分けるポイントになってましたね〜
後で見て気づいて語順変えれば良かったーなんてことがたくさんあるので何回も俳句を見て書いて慣れていこうと思います😊

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