☆テーマ
イントロダクション
それぞれのビム・ヴェンダース観、新作『PERFECT DAYS』について:月永理絵
それぞれのビム・ヴェンダース観、新作『PERFECT DAYS』について:奥浜レイラ
それぞれのビム・ヴェンダース観、新作『PERFECT DAYS』について:徐昊辰
それぞれのビム・ヴェンダース観、新作『PERFECT DAYS』について:森直人
新作『PERFECT DAYS』の感想
劇中曲のこだわり
キャスティング
日本の日常的な光景描写
“ルーティン”
映画と資本の関係性
平山正木の人間性から見える、リアリティの”矛盾”
マイベスト ヴェンダース
マイベスト ヴェンダース表ベスト:月永利絵『アメリカの友人』
マイベスト ヴェンダース表ベスト:奥浜レイラ『パリ、テキサス』
マイベスト ヴェンダース表ベスト:徐昊辰『ベルリン・天使の詩』
マイベスト ヴェンダース表ベスト:森直人『都会のアリス』
マイベスト ヴェンダース裏ベスト:月永利絵『アランフエスの麗しき日々』
マイベスト ヴェンダース裏ベスト:奥浜レイラ『さすらい』
マイベスト ヴェンダース裏ベスト:徐昊辰『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』
マイベスト ヴェンダース裏ベスト:『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
エンディング
☆『PERFECT DAYS』
「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース が、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては「誰も知らない」の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。
東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。
東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同したヴェンダース が、東京、渋谷の街、そして同プロジェクトで改修された公共トイレを舞台に描いた。共演に新人・中野有紗のほか、田中泯、柄本時生、石川さゆり、三浦友和ら。カンヌ国際映画祭では男優賞とあわせ、キリスト教関連の団体から、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。
監督 / ヴィム・ヴェンダース
出演 / 役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和ほか
公式サイト:https://www.perfectdays-movie.jp/
☆ヴィム・ヴェンダース
ドイツ・デュッセルドルフ出身。ミュンヘン大学で映像制作を学び、映画評論家としてキャリアをスタートさせる。70年に長編監督デビューし、「都会のアリス」(74)、「まわり道」(75)、「さすらい」(76)の3部作で国内外から注目を集め、以降数多くのロードムービーを発表。「アメリカの友人」(77)を観たフランシス・フォード・コッポラ監督に招かれて、米国に渡り「ハメット」(82)を監督する。しかし、ハリウッド式の製作方法やコッポラと折が合わず、ドイツに戻った。米国での経験を反映させた「ことの次第」(82)で、ベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞。カンヌ国際映画祭では、「パリ、テキサス」(84)がパルムドールに選ばれる。「ベルリン・天使の詩」(87)で監督賞を獲得し、続編「時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース!」(93)は審査員特別グランプリを受賞した。ドキュメンタリー作品にも定評があり、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(99)、「Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」(11)はアカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネートされている。2023年には、「THE TOKYO TOILETプロジェクト」に合わせて日本で撮影した「PERFECT DAYS」が第76回カンヌ国際映画祭に出品され、主演を務めた役所広司が男優賞を受賞した。
★フィルモグラフィー
長編
都市の夏 Summer in the City (1970年)
ゴールキーパーの不安 Die Angst des Tormanns beim Elfmeter (1972年)
緋文字 Der Scharlachrote Buchstabe (1973年)
都会のアリス Alice in den Städten (1974年)
まわり道 Falsche Bewegung (1975年)
さすらい Im Lauf der Zeit (1976年)
アメリカの友人 Der Amerikanische Freund (1977年)
ニックス・ムービー/水上の稲妻 Lightning Over Water (1980年) ドキュメンタリー
ハメット Hammett (1982年)
ことの次第 Der Stand der Dinge (1982年)
パリ、テキサス Paris, Texas (1984年)
Docu Drama (1984年) ドキュメンタリー
東京画 Tokyo-Ga (1985年) ドキュメンタリー
ベルリン・天使の詩 Der Himmel über Berlin (1987年)
都市とモードのビデオノート Aufzeichnungen zu Kleidern und Städten (1989年) ドキュメンタリー
夢の涯てまでも Bis ans Ende der Welt (1991年)
時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース! In weiter Ferne, so nah! (1993年)
リスボン物語 Lisbon Story (1994年)
愛のめぐりあい Al di là delle nuvole (1995年) ※ミケランジェロ・アントニオーニと共同監督
ベルリンのリュミエール Die Gebrueder Skladanowsky (1995年)
エンド・オブ・バイオレンス The End of Violence (1997年)
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ Buena Vista Social Club (1999年) ドキュメンタリー
ミリオンダラー・ホテル The Million Dollar Hotel (2000年)
Viel passiert – Der BAP-Film (2002年) ドキュメンタリー
U2: The Best of 1990-2000 (2002年) ビデオドキュメンタリー
ソウル・オブ・マン The Soul of a Man (2003年) ドキュメンタリー
ランド・オブ・プレンティ Land of Plenty (2004年)
アメリカ、家族のいる風景 Don’t Come Knocking (2005年)
パレルモ・シューティング Palermo Shooting (2008年)
Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち Pina (2011年) ドキュメンタリー
セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター The Salt of the Earth (2014年) ドキュメンタリー ※ジュリアーノ・リベイロ・サルガドと共同監督
誰のせいでもない Every Thing Will Be Fine (2015年) 3D映画
アランフエスの麗しき日々 Les beaux jours d’Aranjuez (2016年)
世界の涯ての鼓動 Submergence (2017年)
Pope Francis: A Man of His Word (2018年)
PERFECT DAYS Perfect Days (2023年)
☆ 出演者
奥浜レイラ
1984年神奈川県藤沢市生まれ。 日本テレビ 「ズームイン!! SUPER」のレポーターやNHK 「スペイン語会話」に生徒役として出演。 また、洋楽番組のVJや音楽イベント「サマーソニック 」で8年連続ステージMC、東京国際映画祭、したまちコメディ映画祭in台東など映画舞台挨拶の司会などで活躍。
徐昊辰(映画ジャーナリスト、上海国際映画祭プログラマー)
1988年中国・上海生まれ、2007年来日、立命館大学卒業。2008年から中国の映画専門誌「看電影」「電影世界」、ポータルサイトSINA、SOHUなどで、日本映画の批評と産業分析を続々発表。2016年から、北京電影学院に映画産業論文などを不定期発表。中国最大のSNS、微博(ウェイボー)のフォロワー数は約270万人。WEB番組「活弁シネマ倶楽部」の企画・プロデューサー。映画.comコラム「どうなってるの?中国映画市場」連載中。2020年から上海国際映画祭・プログラマーに就任、日本映画の選考を担当。
月永理絵(エディター、ライター)
1982年生まれ、青森県出身。出版社勤務後、2014年よりフリーランスとなり、編集者・ライターとして活動中。個人冊子『映画酒場』の編集・発行人。雑誌『映画横丁』編集人。日本橋高島屋セミナーにて映画講座の講師をつとめる。『メトロポリターナ』『現代詩手帖』『i-D Japan』等にてコラムを連載中。
森直人(映画評論家)
映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「シネマトゥデイ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。
7 comments
出勤シーンがジャームッシュのパターソンっぽいなぁっと、観ながらずっと考えてました😊
出てくる曲も大好きなものばかりで嬉しかったです、ジャニスはジャケットだけで少しだけ悲しかったんですがエンドクレジットにしっかり出てきたので、ヴェンダースのリスペクトに彼をもっと大好きになりました。
活弁シネマ倶楽部の皆様、一年間本当にお疲れさまでした。来年も引き続き楽しみに拝聴してまいります。
大盛り上がりの徹底解剖!忘年会的な雰囲気も感じ(笑)、大変楽しく拝見しました!2024年も皆さんのお話を楽しみにしています!
坂元裕二さんが絶賛してましたが、この作品の1番の美点は彼がなぜ今の状況になったかを説明しないことによって、ラストシーンの涙に自由な解釈をもたらしたことだと思いました。坂元裕二さんがどこを絶賛したのかはわかりませんが、あまりこういう作品は見た事がないです。
濃厚な話ありがとうございました。年代順にみていくと常に最先端のデジタル技術を取り込んで都市と人と音を撮り続けてきた監督だということを認識できます。今回のベストと裏ベストで語られてて最高でした! 動画中で失敗作といわれた「夢の果てまでも」がフィルモグラフィーを振り返ると良い意味でも悪い意味でも監督のターニングポイントになってしまった感がありますね。『PERFECT DAYS』では荒々しい雑味が感じられそうで観るチャンスがあれば必ず見ようと思います。
私は、やはり物足りないと感じました。
むかーしこの監督の「ベルリン天使の詩」がまったく合わなくて、この人の映画を避けていたんですが割合評判がいいし日本が舞台だから観てみようと思います。